最近、youtubeで不動産投資用の物件を取得し、それの減価償却費と自分の所得を損益通算し、実質的に自分の所得をゼロにして税金を払わなくて良くすることが可能だと言うものを見ました。
本当なのか?と思ったのでちょっと検討してみたいと思います。
まず、調べたところ、土地は価値が減らないので減価償却という概念は無いようです。そのため、節税のための減価償却費は、主にマンションやアパートなど建物の購入費用と考えてよさそうです。
さて、具体的な減価償却費の計算ですが、ChatGPTに解説してもらったので、それを要約していきます。少し難しいと思う場合は、「具体例」の部分を見てもらえれば分かりやすいと思います。
中古物件の耐用年数の計算
中古物件の減価償却を行う際には、その物件の新築時からの経過年数を考慮して、新たな耐用年数(残存耐用年数)を計算します。この耐用年数をもとに減価償却費を計算します。
残存耐用年数の計算方法
- 新築時の耐用年数を調べます。
- 経過年数を確認します。
- 残存耐用年数を以下の方法で計算します。
残存耐用年数の計算方法は、次の2つの方法のいずれかを使用します。
- 法定耐用年数の全部を経過した中古資産の場合:残存耐用年数=法定耐用年数×0.2
- 法定耐用年数の一部を経過した中古資産の場合:残存耐用年数=(法定耐用年数 – 経過年数)+経過年数×0.2
減価償却費の計算
耐用年数が決定したら、次に減価償却費を計算します。減価償却方法は「定額法」が一般的です。
定額法
定額法では、毎年同じ金額を減価償却費として計上します。
年間減価償却費=取得価額÷耐用年数
計算例
例: 木造建築物(中古物件)
- 購入価格: 1,500万円
- 法定耐用年数: 22年(木造建築物)
- 経過年数: 10年
残存耐用年数の計算
- 法定耐用年数の一部を経過した場合:
残存耐用年数=(22年−10年)+10年×0.2=12年+2年=14年
年間減価償却費の計算
年間減価償却費=1,500万円÷14年≒107.14万円
このようにして、年間約107.14万円を減価償却費として計上することができます。
注意点
- 耐用年数の確認: 耐用年数は国税庁が定める「耐用年数表」に基づいています。正確な耐用年数を確認するためには、最新の税法やガイドラインを参照する必要があります。
- 物件の評価: 減価償却の対象となるのは建物部分のみで、土地部分は減価償却の対象外です。物件の購入価格を建物と土地に分けて評価する必要があります。
- 税務の専門家への相談: 減価償却費の計算や申告は複雑な場合があるため、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
中古物件の減価償却は、新築物件に比べて少し複雑ですが、適切に計算することで節税効果を最大限に活用することができます。
法定耐用年数の全部を経過した中古物件の減価償却費の計算について
例: 木造建築物(中古物件)
- 購入価格: 1,500万円
- 法定耐用年数: 22年(木造建築物)
- 経過年数: 25年
残存耐用年数の計算
法定耐用年数の全部を経過した場合には、残存耐用年数は以下の計算式で求めます。
残存耐用年数=法定耐用年数×0.2
この場合、法定耐用年数(22年)がすでに全部経過しているため、以下のように計算します。残存耐用年数=22年×0.2=4.4年
減価償却の計算では、残存耐用年数は1年未満の端数を切り上げるため、残存耐用年数は5年となります。
年間減価償却費の計算
年間減価償却費=1,500万円÷5年=300万円
このようにして、年間300万円を減価償却費として計上することができます。
計算の流れ
- 新築時の法定耐用年数を確認。
- 経過年数が法定耐用年数を超えている場合、残存耐用年数を計算。
- 残存耐用年数は、法定耐用年数の20%(0.2倍)で計算。
- 残存耐用年数が1年未満の場合は切り上げ。
- 残存耐用年数を基に減価償却費を計算。
まとめ
法定耐用年数を全て経過した中古物件は、法定耐用年数の20%を残存耐用年数として計算します。これにより、短期間で大きな減価償却費を計上でき、早期の節税効果が期待できます。物件の購入前に耐用年数や経過年数を確認し、正確な計算を行うことが重要です。
以上が、chatGPTの説明です。*一部修正しています。
最後の例のように耐用年数を過ぎている1500万円の物件を買えば、毎年300万円の減価償却ができます。すなわち、見た目の年収を300万円下げられるわけです。これで節税に繋がります。
年収別の税金
実際の節税効果の検証にあたり、年収別の税金を見ていきたいと思います。
*以下の表は、武蔵コーポレーション(株)のホームページの抜粋です。
年収 | 所得税 | 住民税 | 社会保険料 | 年手取り |
200 | 3 | 6 | 29 | 163 |
300 | 6 | 12 | 43 | 240 |
400 | 9 | 18 | 57 | 317 |
500 | 14 | 24 | 72 | 390 |
600 | 18 | 31 | 86 | 466 |
700 | 32 | 38 | 101 | 530 |
800 | 47 | 45 | 113 | 595 |
900 | 65 | 54 | 118 | 662 |
1000 | 82 | 64 | 123 | 731 |
1100 | 104 | 73 | 129 | 794 |
1200 | 118 | 83 | 134 | 865 |
1300 | 149 | 92 | 139 | 919 |
1400 | 181 | 102 | 144 | 973 |
1500 | 212 | 111 | 149 | 1027 |
2000 | 374 | 160 | 159 | 1307 |
2500 | 559 | 210 | 161 | 1570 |
3000 | 778 | 264 | 162 | 1796 |
3500 | 977 | 314 | 164 | 2045 |
4000 | 1176 | 364 | 165 | 2295 |
まず、年収に対する手取りですが、すごく少ないですね。税金高すぎます。
年収300万円でも2割取られ、
年収1000万円では2.7割取られ、
年収2000万円では3.5割取られ、
年収4000万円では4.3割取られます。
節税の効果① 年収700万円の場合
まず、節税の効果は会社員か個人事業主かで全然変わってしまいます。
その差は社会保険料の差です。
会社員の社会保険料は4~6月の給料で決まります。*以前書いた記事にまとめています。
したがって、年収を下げたところで、社会保険料は減りません。
減らせるところは、所得税、住民税だけです。
個人事業主であれば、年収で社会保険料が決まるので、年収を下げることで社会保険料も軽減できます。
<会社員の場合>
元の年収が700万円で、上記の節税で300万円年収を下げ、年収が400万円になったと仮定します。
700万円の年収の所得税、住民税の合計は70万円です。
400万円の年収の所得税、住民税の合計は27万円です。
したがって、年間53万円の節税ができることになります。
よって上記物件を買うことで、5年間で265万円の節税になります。
したがって、上記物件を買うことによる利益がー265万円、すなわち265万円未満の損失で済めば、得することになります。
しかし265万円以上損するようなら赤字になってしまうわけです。
<個人事業主の場合>
元の年収が700万円で、上記の節税で300万円年収を下げ、年収が400万円になったと仮定します。
700万円の年収の所得税、住民税、社会保険料の合計は171万円です。
400万円の年収の所得税、住民税の合計は84万円です。
したがって、年間87万円の節税ができることになります。
よって上記物件を買うことで、5年間で435万円の節税になります。
したがって、上記物件を買うことによる利益がー435万円、すなわち435万円未満の損失で済めば、得することになります。
しかし435万円以上損するようなら赤字になってしまうわけです。
会社員よりはだいぶ有利ですね。
具体的なリスク
物件を買うリスクを思いつく限り書いてみたいと思います。
①1500万円で買う時に、不動産屋さんにお金を払うと思います。消費税10%で、特に値切らない場合、*正直値切った方が良いと思います。
仲介手数料 = 売買価格 × 3.3% + 6万6000円
なので、56万1000円になります。
②借金をすると利子も発生します。
③買った物件を売却した時に損が発生する可能性があります。
たぶん、これが一番リスクがあると思います。売却時の価格が下がっている場合はもちろんのこと、価格が同じ、あるいは上昇していた場合でも損をする可能性があります。それは、不動産を売却した時長期譲渡所得税がかかるからです。減価償却で節税した場合、取得費が0として計算されてしまうため、売却時の価格にそのまま税金がかかります。
例えば、1500万円でそのまま売却できたとして長期譲渡所得税として所得税15%+住民税5%で20%の税金がかかるので、計300万円の税金がかかります。
ついでに売る時も不動産会社の費用(56万1000円)が同額かかります。*これは譲渡費用として経費にできますので、長期譲渡所得税は本当は若干下がります。
ということで、物件をすぐに売却する場合は、少なくとも400万円の損が発生するので、個人事業主であっても年収が700万円くらいでは、あまりメリットがないというのが実際でしょう。
<その他>
・物件で不動産収入を得たら、上記損失を補填できるかもしれません。しかし、不動産収入自体は収入になるので、税金は高くなってしまう可能性があり、節税効果は薄れるかもしれません。
以上を総合すると、
すぐに売却するのであれば、止めた方が良いというのが正直な感想です。
長期的に持つのであれば、得する可能性はありますが、そこも確実性はありません。
ではこの方法は全然使えないのかというと、そうでもありません。高収入の人では効果が高いです。
節税の効果② 年収2000万円の場合
<会社員の場合>
元の年収が2000万円で、上記の節税より少し高い物件(2500万円)で500万円年収を下げ、年収が1500万円になったと仮定します。
2000万円の年収の所得税、住民税の合計は534万円です。
1500万円の年収の所得税、住民税の合計は323万円です。
したがって、年間211万円の節税ができることになります。
よって上記物件を買うことで、5年間で1055万円の節税になります。
<個人事業主の場合>
元の年収が2000万円で、上記の節税より少し高い物件で500万円年収を下げ、年収が1500万円になったと仮定します。
2000万円の年収の所得税、住民税、社会保険料の合計は693万円です。
1500万円の年収の所得税、住民税の合計は473万円です。
したがって、年間220万円の節税ができることになります。
よって上記物件を買うことで、5年間で1100万円の節税になります。
年収が700万円の時は、会社員と個人事業主の節税の差はかなりありましたが、2000万円の時は、そこまで無いようです。これは社会保険料が年収が高くなってもあまり高くならないからのようです。
<2500万円の物件の売買コスト>
ちなみに2500万円の物件の場合、
仲介手数料が89万1000円。*買いと売りでそれぞれ
長期譲渡所得税が500万円。
ということで、買った物件を同額で売れれば780万円くらいの支払いが発生します。
したがって、買った物件を同額で売れれば、節税の効果で250~300万円くらいは得することができそうです。不動産屋の仲介手数料を値切れれば、さらに80万円程度得することになります。
*もちろん、物件の価値が著しく下がれば損をする可能性はあります。
ということで、年収が2000万円くらいになると節税による恩恵がかなり受けやすくなるようです。
以上、節税をする時に、ぜひ参考にしてもらえればと思います。
間違っていたらごめんなさい。
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